先日KANGOさんのご紹介でPIONEERさんに行って参りました。
でもって個人的にも気になっていたDJM-900 nexusを中心に、CDJ-2000、DDJ-S1についての説明を担当の平山さんから受け、実際に触ってきましたのでレポします。
・DJM-900 nexus
今やジャンルを問わず、世界各国のクラブにて標準機となっているDJM-800の後継機種。
日本のヒップホップ箱ではあまり馴染みの無い機種ではありますが、海外のDJが来日しプレイする際の機材リストには必ず入っていると言っても過言ではないほどDJM-800を指定されますし、実際海外のHIP HOP DJからの支持もかなりあるミキサーです。日本でも4つ打ち系の箱には必ずといって良い程あります。
そんな800の操作性はそのままに、新たなエフェクトを追加しディティールをアップグレードした本機種は、800に慣れている方であれば何の不自由も無く即使えるであろうインターフェイスとなっております。
一見、800と比べてあまり変化が見られないかと思いきや、目に見えにくいポイントでかなり大幅なアップグレードがされていました。
まずは音質。
元々音質はいいと感じていましたが、パイオニア特有の硬い音というか、高音にかなり重点を置かれている印象が強く、良く言えば高音の再現性がいい、悪く言えば高音がキツいというイメージで、そういった理由からHIP HOP向きの音質ではないと思ってました。
しかしこの900は低音の鳴りが良く、トータルして音が太くなった印象を受けました。
平山さんが試しにプリモ印のGROUP HOME諸作を流してくれましたが、ああいったザラついたローファイなHIP HOPがいやみ無く鳴り、なおかつ今まで聞こえづらかったハイの音まで緻密に再現出来ている印象を受けました。
そしてフェーダーの耐久性が劇的に良くなった点。
よくそういったうたい文句を掲げている製品を見かけますし、実際になかなか検証しづらい部分ではありますがこれは本当にそうでした。
800と触り比べるとその差は歴然。
明らかにフェーダーのカタカタ感が無くなっていました。
あと、良くありがちなフェーダーのツマミがぶっ飛んで行方不明になる事がしばしばありますが(DJあるある)、今回は構造上なりづらいようになっているとのこと。
現場の人間からするとかなりありがたい改善点です。
こういったところもよりHIP HOP向きになったのではないかと思います。
次にエフェクト。
SOUND COLOR EFFECTで今回新たに追加された3種類のうちのDUB ECHOというモードとGATE/COMPが個人的にはかなり気に入りました。
DUB ECHOとはその名のとおりのいい感じな効果が得られます。DISCO DUBなんかプレイする際はかなりしっくり来るでしょう。
またダンクラ等の生音への使用がかなり有効かと思われます。
昨今その手のエディットものがレコード、データ含め無数に存在しますが、そういったものによく使われていそうなエフェクト感が出ると思われるのでかなり重宝しそうです。
GATE/COMPに関してはコンプレッサー効果を得られるエフェクトで、ちょっと音圧を稼ぎたいときに使用するとレベルを変えずに音圧を得られる優れもの。
これもやはり生音⇄打ち込みのミックスの際だとかに、かなり重宝しそうなエフェクトです。
もう一つエフェクト部で目を見張る点は、X-PADというタッチ式のセンサーが採用されたことです。
今まではエフェクトをかける際、ミキサー右下部のON/OFFボタンでかけてましたが、それに加えて900ではX-PADに触る事によってエフェクトがONになり、さらに指をスライドさせる事により、複数のパラメーターを感覚的に操作する事ができ、離す事によってOFFになるという、より直感的にエフェクトを使うことができる画期的なツールです。
あまりPIONEERのミキサーになじみの無い人でもすぐに使えるでしょう。
最後にUSBポートが搭載されたという点。
TRAKTORユーザーはそのまま繋げるだけで全機能を使用したプレイが可能とのこと。
残念ながら現時点ではSCRATCH LIVE対応していませんでしたが、録音ソフトを使ってアナログからレコードの音を録る時などはこのミキサーからダイレクトで出来るので劣化を最小限に抑える事が出来るのと、サウンドカード自体の品質が非常に良いため、相当クオリティーのいい音で取り込みが出来るとのことでした。
実際平山さんも某有名メーカーの¥100000位のインターフェイスを使っていらっしゃったようですが、今ではこのミキサーで録音しているとの事でした。
今回はまだ詳しく検証出来ませんでしたが、編集ソフトとの互換性もあるらしく、MIX CD等の制作にもひょっとしたらかなりの武器になる可能性を秘めているっぽいのでそれは今後追々検証してみます。
http://pioneer.jp/cdj/products/mixer/djm900.html
・CDJ-2000
CDJと言ったらPIONEERというくらいジャンルを問わずシェアはNo,1ですが、これはCDJシリーズの最新機種。
液晶パネルが大きくなりさらに可視性がアップしましたが、それだけではなく音質もかなり質のいいカードを搭載しているらしく今までのCDJとは比べものにならない程音質が向上したとのこと。
音にうるさいハウス界の大御所TIMMY REGISFORDも大のお気に入りらしく、来日時はこれを3台+UREIでプレイしていたとのことです。
さらにLANケーブルによってもう一方のCDJ-2000、ミキサー(DJM-900)とリンクするため、片方のUSBポートに挿したメディア(HDD・メモリスティック等)のデータを一方のデッキへ即転送→ミキサーも瞬時にBPMを判断し今まで以上に確かできめ細やかなエフェクト処理が可能になっています。
わかりやすく言うと、ハードディスクやメモリスティック、SDカードひとつだけ持っていけばDJ出来ちゃうっていう優れもの。
そして前もってデータを専用ソフトREKORDBOX(パイオニア独自の楽曲管理ソフト)にて読み込ませておく事によって、曲のBPM、スネア位置が自動的に解析されてグリッドが割り当てられるので、曲にエフェクトをかけてる最中にピッチを変えてもエフェクトが全くずれず、BPMに応じてエフェクトも連動して付いて来ちゃうという、今までのネックだった部分が完全に解消された素晴らしい逸品となっています。
いずれにせよミキサーとの互換性に限らず、もはやCDJの決定版といえるでしょう。
http://pioneer.jp/cdj/products/cdjplayer/cdj2000.html
・DDJ-S1
『SERATO ITCH』専用コントローラー。
当方全くITCHは見た事もいじった事も無かったんですが、SCRATCH LIVEとはまたちょっと違うソフトらしく、ITCH専用コントローラーが必要なソフトで、各社が様々なコントローラーをリリースしているようです。
そしてこのDDJ-S1はPIONEERらしい機能をコンパクトにまとめたコントローラーでした。
通常のDJセットに比べコンパクトとはいえ、もっと小さいコントローラーあるんじゃねーの?と思いがちですが、他の電化製品に比べてただ小さくするだけが必ずしもいい訳では無いというのがDJ機器の常。
あくまでフィジカルコントローラーなので、スクラッチ等、DJのパフォーマンスが損なわれては意味が無いんです。
パフォーマンスが十分発揮出来るギリギリの大きさにうまくまとめられたといった印象です。
マイク入力やキャノンのアウトも装備し、エフェクトもDJMゆずりの多彩なエフェクトを内蔵。マイクにだって個別でエフェクトかけれます。
ミキサーもタンテもレコードもCDも持っていない、パソコンで音楽を聴いていてDJを始めたいという人にはうってつけの商品ではないでしょうか。
また、限られたスペースしか無い小さなバーや屋形船、バーベキュー等、野外での使用にはすぐに実力を発揮しそう。
そしてやはりITCHだけでなくSCRATCH LIVE等との互換性が欲しいところですね。
http://pioneer.jp/cdj/products/controller/ddjs1.html
KANGOさん、担当の平山さん
KANGOさん、自分
総評として思っていた以上に進化していると感じましたし、現場のDJからのフィードバックを基に意味のあるアップデートがしっかり出来ているなと思いました。
また、USBポートの導入等で様々なハードと繋ぐ事が可能になった事で、思いもよらぬ使い方が出来そうだなと感じましたし、今後の拡張性/互換性にも期待が持てるし、制作にも一役買いそうな点が個人的にもかなり要注目の点でした。
願わくば、SERATO SCRATCH LIVEとの互換性が最も望まれるところですが、色々と大人の事情はあるんでしょうが、なんとかならないんでしょうかね?
その点は今後に期待です。
いずれにせよ現時点、そして今後もグローバルスタンダードなミキサー/CDJとしてあり続けるのは間違いないですし、もっとHIP HOP業界にも普及するであろう製品だと思います。
-K
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